今期は特に「騒音」というテーマに焦点をあてる。ここ数年、都市の「騒音 (Noise)」の歴史や、それを受けとめる人々の感性の変容を描き出す研究書が立て続けに発表されている。19世紀のパリ(Aimée Boutin, "City of Noise: Sound and Nineteenth-Century Paris", 2015)、両大戦間のイギリス(James G. Mansell,
"The Age of Noise in Britain: Hearing Modernity", 2017)、ナチ時代のドイツ(Carolyn Birdsall, "Nazi Soundscapes: Sound, Technology and Urban Space in Germany, 1933-1945", 2012)等々、対象は様々であるが、いずれも騒音が近代における都市環境の不可欠の要素になっていることを認識し、それに関わる意識の誕生や変容を描き出そうとする興味深い研究となっている。これらを題材に読み進めたい。